赤い衝撃
龍二が出張から帰る日は
三人で夕飯を食べるのが決まりになってて
今日がその日なんだけど
今日に限ってマサルが来れないと
メールがあった。
マサルが居ない事もあったけど
今日の二人っきりは・・・
麻耶はメールを見ながら溜息を吐いた。
夕飯の仕度をしていても落ち着かなくて
包丁で指を切るは、魚は焦がすは
で最悪の状況になってしまった。
龍二が帰る時間が近付き
時計にばかり眼がいってしまう。
お風呂を沸かすのを忘れていたので
急いでお風呂場へ向かった。
その時、玄関の音がして
「ただいま」
彼は、何事もなかったみたいに
いつもの口調だった。
それでも麻耶は出て行くタイミングが
分からない。
洗面台の前で、顔を覆ってうずくまっていた。
「何やってんだ?風呂入るぞ?」
「あ、あ、おかえり」
後ろを振り向き、龍二を見上げると
ワイシャツを脱ぎ始めていた。
「ちょ、ちょっと待ってよ」
麻耶はシドロモドロになり
慌てて洗面所から脱出した。