赤い衝撃

龍二が出張から帰る日は

三人で夕飯を食べるのが決まりになってて

今日がその日なんだけど

今日に限ってマサルが来れないと

メールがあった。

マサルが居ない事もあったけど

今日の二人っきりは・・・

麻耶はメールを見ながら溜息を吐いた。



夕飯の仕度をしていても落ち着かなくて

包丁で指を切るは、魚は焦がすは

で最悪の状況になってしまった。

龍二が帰る時間が近付き

時計にばかり眼がいってしまう。

お風呂を沸かすのを忘れていたので

急いでお風呂場へ向かった。

その時、玄関の音がして

「ただいま」

彼は、何事もなかったみたいに

いつもの口調だった。

それでも麻耶は出て行くタイミングが

分からない。

洗面台の前で、顔を覆ってうずくまっていた。

「何やってんだ?風呂入るぞ?」

「あ、あ、おかえり」

後ろを振り向き、龍二を見上げると

ワイシャツを脱ぎ始めていた。

「ちょ、ちょっと待ってよ」

麻耶はシドロモドロになり

慌てて洗面所から脱出した。



< 45 / 119 >

この作品をシェア

pagetop