赤い衝撃
龍二の言葉は、麻耶の心に響いた。
真面目に考えてくれていた事も
嬉しかったし、正直だと思った。
-----好きか、嫌いかだけの問題。
麻耶は、自分に問いかける。
好きか、嫌いか、どっちだ?
・・・・・
嫌いじゃない。
じゃあ、答えは一つしかないじゃん。
その時、麻耶の竿がピクピク動き出した。
「動いてるよ!急に重たくなった!」
龍二は、慌てて立ち上がり麻耶の手を
上から握った。
「来たな!しっかり持ってろ!」
右に行ったり、左に行ったり揺さぶられて
やっとの思いで引き揚げた。
その魚は、20cmほどのキスゴだった。
「麻耶が釣った初めての魚だ!」
「嬉しい嬉しい!釣れると楽しいね!」
マサルも駆け寄り、喜んでくれた。
「これって食べれる?」
「麻耶は残酷だねぇ!
初物なのに食うのかよ?!」
マサルに額を叩かれた。
「小さ過ぎて食えないだろ!」
二人に突っ込まれ、三人は大声で笑った。
結局、麻耶は一匹しか釣れず
キスゴも海へ帰してあげた。