赤い衝撃
「俺、風呂入って寝る。
あっちの部屋使うから」
マサルは、履き捨ててお風呂場へ行った。
-----あっちの部屋使うから。
部屋はツインになってて
龍二は、麻耶とマサルに
使わそうと思っていた。
自分はソファで寝れば良いと。
「怒ってたね?」
「気にするな」
「私、まだ返事してないのに・・・」
「悪い。麻耶もあっちで寝ろ」
「でも・・・」
麻耶は、俯いたまま膝の上で
手を握り締めていた。
張り詰めた沈黙ではなく
静かな時間だった。
龍二は、ゆっくり立ち上がると
二人分の紅茶をテーブルの上に置いた。
「飲め、少し落ち着いて考えろ」
「ありがと」
マサルが、勘違いしてるとは二人とも
知らない。
マサルは、兄妹の関係が壊れる事が
イヤなのか、突然の話に面食らった
のか、兄貴が結婚するとは
思ってなかったから驚いただけなのか
麻耶には分からなかった。