赤い衝撃
龍二は、麻耶の手を離さず
天窓から見える空を見ていた。
「言われてないよ」
「あ?」
「好きって・・・結婚しようってだけで」
麻耶は、消え入りそうな小さな声だった。
それでも、こっちを見ようとしないで
空を見上げたままだった。
そして、彼は小さく唸った。
結婚の言葉の中に含まれているから
言わなくても分かるだろ。
そんな言葉に何の意味があるんだ。
俺が好きだと言えば
麻耶も好きと答えるのか?
龍二が言いそうな言葉を思い浮かべる。
だけど、どれも違っていた。
龍二は、身体を起こし麻耶を隣に座らせた。
「子供が欲しい」
「え?子供?」
麻耶の想像からは、あまりにもかけ離れた
言葉に、声が大きくなってしまった。
「お前との・・・だ」
決意が込められたような低い声だった。
龍二は肩に手を回し、身体を寄せた。
「アッ」
息とも声ともつかない音が出て
そのまま身体をあずけた。