赤い衝撃
こんな時間でも
駅にはたくさんの人が溢れていた。
その中に見覚えのあるコートが・・・
彼は電話をしていたので気付いてない。
切符売り場の前で、三人のおばちゃんが
楽しそうに話をしていた。
すいません、と声をかけると
「あ~ら、ごめんなさ~い」
そんなに大きな声で言う事もないと
思いながら、軽く頭を下げ切符を買った。
彼が気になったけど
眼を向けずホームを目指して歩き出した。
「お~い。黒いジャンパー!」
振り返ると、彼が手を上げて笑っていた。
麻耶が立ち尽くしていると
近付いて来るので、少し身震いがした。
「今日で終わりだったな?」
「はい」
「もう、怒られなくて済む?」
「いいえ。
また来週から違う場所へ行きます」
「楽しいか今の仕事?」
「いいえ」
そこで会話は途切れた。