赤い衝撃
「大丈夫、一人で泳げる」
麻耶は、龍二の肩を押して
身体を離そうとした。
だけど、龍二の腕は麻耶の背中から
離れない。
「どうしたの?大丈夫だよ」
「麻耶、気持ち固まったか?」
「え?ブクブク」
麻耶は、突然の質問に足の力が抜け
顔半分が海に浸かってしまった。
龍二が慌てて引き上げたので
麻耶の胸が、彼の顎の辺りにある。
麻耶は、水を吐き顔を覆った。
ビックリしたのもあるけど、恥ずかしくて
どうしていいか分からなかった。
「ドジだよな?」
「ごめん、こんな女で」
「上がるか?」
彼が先に船に上がり
麻耶を引っ張り上げてくれた。
龍二は、タバコを取りに船の中へ入ったので
その間に、麻耶は答えを探していた。
見渡す限り海で
遠くに大きな客船が見える。
二人だけの世界だと思えた。
「飲むか?」
彼は、ペットボトルを差し出し
麻耶の隣に座った。