赤い衝撃

「キスして」

「麻耶?」

麻耶が何も言わないので

龍二はそっと肩を抱き寄せキスをした。

二度目のキスは、潮の味がした。

だけど、また軽いキスだったので

急激に不安感に襲われた。

波の音しか聞こえない。

龍二も口を開こうとはしない。

麻耶は、ペットボトルのジュースを

喉に流し込み、大きく息を吐いた。

「何考えてる?」

「本当に私で良いのかなぁって?」

「お前が良いんだ」

「ありが」

言葉を遮るように、龍二は唇を近づけた。

絡まる舌と舌。

潮の味はもうしなかった。

言えなかった時間を埋めるように

聞けなかった時間を忘れるように

息が出来なくなるまで求め合った。

身体が熱かった。

心が満たされていくのを感じた。

私は、龍二を愛してると思った。

「恥ずかしい」

麻耶は、心臓の音を聞かれないように

両手で胸を押えた。



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