赤い衝撃

「そうか?可愛い所もあるんだな?」

「そうか?じゃなくてさぁ

 もうちょっと気が利いた台詞ないのかなぁ」

龍二は、顎に手を当てて考えていた。

「結婚するぞ」

「話が飛び過ぎ!」

「本気だ!俺の実家に連れて行く」

「早っ?!」

「早くない、俺も30だ」

そういう事じゃなくて

と思いながら口には出さなかった。



     ☆     ☆     ☆



二週間後、龍二は出張から帰ると

駅から電話を掛けてきた。

「これから行くから用意しとけ」

「行くって、何処に?」

龍二は、麻耶を実家に連れて行くと言った。

車で1時間もかからないけど

夜、挨拶に行くのはどうなんだろう。

「どうしたの?」

「急に思いついた」

車に乗り込むと、龍二の携帯が鳴った。

電話を切り、また何処かに電話を掛けた。

仕事の事だと分かっていたけど

何か焦っているように見えた。

それが何かは分からないけど

何故か聞いてはいけないような気がした。



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