赤い衝撃
麻耶が部屋に戻った時
龍二は、また電話をしていた。
目線が合い、小さく頷いて電話を切った。
溜息が聞こえた。
「何かあったの?」
「いや、心配ない」
龍二は頬を緩ませたけど、表情は暗かった。
「私は、力になれない?」
「いいから、横になってろ」
龍二は、麻耶の頭をポンポンと叩いて
お風呂場へ向かった。
麻耶は緊張していたので
頭まで布団を被っていた。
彼がそっと近付き
布団を剥がして顔を覗き込んだ。
「後悔しないか?」
「何を?」
声が震えているのが自分でも分かった。
「俺とで?」
「うん」
龍二は、麻耶の身体を起こし
眼の前に座らせた。
そして、真っ直ぐな瞳で麻耶を見つめた。
麻耶は、顔が見れないので
眼を伏せたままだった。
「麻耶、結婚しよう」
麻耶は黙って頷いた。