赤い衝撃
眠りについたのは朝方だった。
携帯の着信が、けたたましく鳴り続けて
やっと二人は眼を覚ました。
龍二は、困惑した表情で飛び起き
素早く電話を切った。
「悪い、帰るぞ。実家はまただ」
「仕事?」
「トラブルだ。俺が行かないと」
彼の動揺した様子に
麻耶は、事の重大さを察した。
急いで仕度をしてホテルを後にした。
車の中でも電話は鳴り止まないので
会話も出来ない。
彼の顔をチラチラ見る事しか出来ない。
「そんな顔するな。大丈夫だ」
「本当?」
「ああ」
心配させまいと手を握ってくれた。
だから、少し安心出来た。
だけど龍二の表情は
麻耶の家が近付くにつれ強張っていった。
「待ってる」
「暫く連絡出来ないかも知れない。
不安なら俺のマンションに居ろ」
「うん。気を付けて」
車は猛スピードで走って行った。