赤い衝撃
俺も主犯格で、何年で出てこれるか
分からない。
待っていてくれとは言えない。
だから、堕ろしてくれ。
すまない。
龍二は、震えながら土下座した。
彼は、外資系のエリートサラリーマン
なんかじゃなかった。
麻耶が勝手に思い込んでいただけで
だから、確認した事もなかった。
麻耶は思考に沈み、心が重くなった。
そして、一片の情も含まれない
冷めた眼で龍二を見返していた。
-----信用出来ないか?
その言葉を龍二はどんな気持ちで
言ってくれたのか。
全部嘘だったのか。
オイシイ話には、必ず裏がある。
間違いではなかった。
長い沈黙の中
二人の視線が合う事はなかった。
「一人で産む」
麻耶は、腹の底から搾り出した。
「それは出来ないだろ?!
麻耶はまだ若い。
俺のせいで人生を台無しにしないでくれ」
彼が、声を張り上げた。