赤い衝撃
誰にも言わずに家を出た。
何故か真っ赤な服を着たくなった。
玄関から少し歩いた所で
母親に呼び止められた。
振り向くと、眼は赤く口元を押えていた。
「どうしたの?」
返事をしないので、もう一度問い掛けて
ゆっくりと近付いていった。
「病院行くの?」
「あ、う、うん」
「良いの、それで?」
母親の眼には、今にも零れそうな程の
雫が光っていた。
「なんで泣いてるのぉ?」
母親だなぁ、全部知ってたんだ。
勝てないよね。
2~3日様子がおかしかったから
何か言ってくるのを待ってた。
だけど、何もしてあげられないから
黙って見守るしかなかった。
麻耶が決めた事に反対もしない。
だけど、この子が居た事は
忘れないでおこうね。
母と抱き合って泣いてた。
玄関先で、人目も気にせず
大きな声で泣いてた。