赤い衝撃
病院に着いて、窓口に同意書を提出した。
待合室で待ってると
顔見知りの看護師が出てきて
手を握られた。
「どうして?あんなに喜んでたのに?」
何も言えなかった。
「手術のカルテ見て驚いて・・・」
「父親がいなくなったから・・・
だから産んであげられない」
麻耶の涙が、看護師の手に落ちた。
「そんな・・・」
看護師は肩を二度叩き
唇を震わせながら受付に戻って行った。
名前を呼ばれ、診察室へ行くと
先生も少し驚いていた。
「事情があるんだね」
そう言って、柔らかな眼差しを見せた。
麻酔を打たれても効かなかった。
「麻酔は効かないんです。
歯医者でも言われました」
「赤ちゃんが抵抗してるんだよ」
先生の言葉は、今の麻耶には残酷だった。
「すいません」
「麻酔追加するからね」
今度は、5秒で意識が飛んだ。
手術は15分で終わって
ベッドに移され眠っていた。