雨上がりの空に君を見つける



「あ、ねえねえ。わたし喉乾いちゃった。ジュース買いに行こっ」



 昼休み、佳奈美のその言葉に私と希生はうなずく。別に喉は渇いていなかったけど、これは水分補給ではなく人付き合いだ。だから私だけ行かないなんてありえないし、言ってはいけない。


 飲みたいものがなかったとか言っておけば飲まないジュースを買う必要もない。そう考えサイフを持って立ち上がり、自動販売機に向かった。



「……織っ。紫織っ。ねえ、紫織ってば」



 やばい、ぼーっとしてた。



「あ、えとごめん、なんだっけ」



 無視したとか思われてないよね。


 二人は気にする風もなく続ける。



「今日から放課後、うちら部活始まるから一緒に帰れなくなったって話」



 知ってる。二人は優しいからこんなこといちいち気にしない。



「あ、うん大丈夫。そっか、今日からだっけ。」



 なのに私は二人の顔色をうかがってしまう。
 

 ほんとは私も二人と一緒に部活に入りたかった。でも……仕方ないじゃんか。私はダンスが踊れないのだから。



「そう、ダンス部もう少ししたら大会だから本腰入れろって先輩たちが」


「うわ〜、大変そうだね。頑張ってねっ」


「うん」


「ありがとーっ」



 二人とも楽しそうでいいな。私にもなにか楽しめることがあればいいのに。


 私はまだ部活には入っていない。


 中学生の頃はテニス部に入ってはいたものの、日に焼けるやらトレーニングの外周がきついやらで、もう絶対に入らないと心に誓っていた。


 だからこそ楽しんで部活をしている二人が少し羨ましかったりする。









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