雨上がりの空に君を見つける
でも、私のやりたいことってなんだろう。あんまりない、な。
「ってあれ…?」
――傘が、ない?
朝見たときにはあったから誰かが間違えてしまったのだろうか。
確かに名前は書いてないし、私の傘はどこにでもあるようなビニール傘だ。
傘立ての中にはボロボロの傘だけが残っている。
「これ絶対にわざとじゃん…」
どうやら、私の傘は誰かに盗まれてしまったようだ。
この傘をかわりにさしていこうか。でも、ところどころ穴が空いているようで使い物にならなさそうだ。
外はもう大粒の雨が降っている。
それはまるで普段隠している私の心みたいで。
「もう、いいや…」
惨めだなぁ。そんな思いとともに何かがこみ上げてきそうになって。
結局、何もささずに私は外に出た。
この雨を遮るものがない代わりに降る雨は私の頭を、身体を濡らしていく。
そして水が頬をも濡らしていく。
頬を濡らすものが雨なのかどうかは私にはわからなかった。