ヒロインよ、王太子ルートを選べ!

第23話 どうしても二人はすれ違う ※レオナルドside

 ジェラードの取り次ぎで、コレットが訪ねてきたことを知った。なぜだ? こんな時間にこっそり一人で来たのか?

 あの日、陛下や宰相からコレットが叱られた日。
 コレットを送ったあと王宮に戻った俺の前に、メイが現れた。コレットを叱ったあと、レーマン伯爵とメイを王宮に呼び、宰相が面会したらしい。
 どうせ、コレットを悪者に仕立て上げてレーマン伯爵に謝罪したんだろう。俺のいない間を見計らって、本当に卑怯なやつだ。

 嬉々として俺に話しかけて来たメイに、コレットに手を出さないように釘を刺した。しかし、俺たちが話していた場所(・・)が悪かった。俺はメイに指一本触れてもいないのに、突然メイが悲鳴を上げて階段から転げ落ちたのだ。

 俺に階段から突き落とされたフリをしたらしい。

 その場を見ていた宰相やレーマン伯爵は、もちろん国王陛下に「レオナルド殿下がメイを階段から突き落とした」と報告した。陛下は俺がそんなことをするはずないと信じてくれたものの、くじいた足が回復するまでメイに付き添うように言われてしまい、伯爵もそれで納得した。

 そんなこんなで、俺は休暇に入ってから一日中メイに振り回されている。やっと時間が空いたと思ったら、宰相にモリモリに仕事を詰められる始末。
 こうやって俺とコレットが会えない間に、宰相が勝手にコレットとの婚約破棄なんて進めてないよな?

 そんな風に不安に思っていたタイミングで、コレットが俺を訪ねて来た。嫌な予感しかしない。とにかく急いで裏口に向かった。


「コレット! こんな時間にどうした?!」


 やっぱり一人だ。人目につかないよう頭からストールをかぶっている。あれ、この光景何度も見たような……。ああ、俺がコレットへの想いを拗らせていた時、会いたくて急に呼び出したりしてたな。何度思い返しても俺って最悪だな。


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