ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
マティアスは立ち止まり、私もそれに合わせて歩を止めます。
「ごめん。本当にごめん」
「ううん、あなたを責めたいわけじゃない。結局はこうなる運命なんだもの。ただ、あなたがレオ様に対して後ろめたいようなことをしようとしていたんじゃないかって心配になっただけ」
「……コレットは、本当にレオとお別れしていいの?」
蚊が鳴くような声とはこのことね。元はと言えばマティアスが教えてくれたのよ、レオ様とメイ様が婚約するって。いくら私が別れたくないと言ったって、運命には逆らえない。
「マティアス。私はレオ様がお幸せだったらそれでいいわ。マティアスもよく知っている通り、私は悪役令嬢だもの。ヒロインが王太子ルートを選んでくれたから、私も病死とか辺境での労働とか孤独な引きこもりとか、そういう不幸な未来は起こらないと思うの。一番安全なルートを選んでくれて良かったと思わなきゃ。レオ様の気持ちも、きっともうメイ様に向いてる。これで良かったんだと思う」
「今更僕がこんなことを言うのは本当におかしいんだけど。どうして君はそうやって自分の不幸な未来を受け入れるのかな? 君が幸せになる道だって、ちゃんとあると思う。ここはゲームの世界じゃない、僕たちにとっては現実の世界なんだから。きっと自分の力で、幸せはつかめる」
マティアスは一体何が言いたいのかしら。
もちろん、私たちはこの世界に実際に生きている。だけど、ああやってみんなが協力してくれて全ての攻略ルートを潰したところで、結局こうなったじゃないの。
マティアスも見たでしょう?
レオ様とメイ様が、しっかりと抱き合って二人きりで歩いているところを。
どうあがいても、やっぱり私は悪役令嬢コレット・リードだった。ただそれだけなのよ。
「ごめん。本当にごめん」
「ううん、あなたを責めたいわけじゃない。結局はこうなる運命なんだもの。ただ、あなたがレオ様に対して後ろめたいようなことをしようとしていたんじゃないかって心配になっただけ」
「……コレットは、本当にレオとお別れしていいの?」
蚊が鳴くような声とはこのことね。元はと言えばマティアスが教えてくれたのよ、レオ様とメイ様が婚約するって。いくら私が別れたくないと言ったって、運命には逆らえない。
「マティアス。私はレオ様がお幸せだったらそれでいいわ。マティアスもよく知っている通り、私は悪役令嬢だもの。ヒロインが王太子ルートを選んでくれたから、私も病死とか辺境での労働とか孤独な引きこもりとか、そういう不幸な未来は起こらないと思うの。一番安全なルートを選んでくれて良かったと思わなきゃ。レオ様の気持ちも、きっともうメイ様に向いてる。これで良かったんだと思う」
「今更僕がこんなことを言うのは本当におかしいんだけど。どうして君はそうやって自分の不幸な未来を受け入れるのかな? 君が幸せになる道だって、ちゃんとあると思う。ここはゲームの世界じゃない、僕たちにとっては現実の世界なんだから。きっと自分の力で、幸せはつかめる」
マティアスは一体何が言いたいのかしら。
もちろん、私たちはこの世界に実際に生きている。だけど、ああやってみんなが協力してくれて全ての攻略ルートを潰したところで、結局こうなったじゃないの。
マティアスも見たでしょう?
レオ様とメイ様が、しっかりと抱き合って二人きりで歩いているところを。
どうあがいても、やっぱり私は悪役令嬢コレット・リードだった。ただそれだけなのよ。