ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
「コレット! ここにいたのね、夕食の席に急遽王太子様がいらっしゃることになったのよ。早く着替えなさい」
はい、今ちょうど王太子様とは関わらないことに決めたところ! 決定ホヤホヤ! そんなところにいきなり何ですか?
……もしや、誰か私の頭の中を見ていますか?
「お母様、なぜ急に王太子様が?」
「休暇で別邸に行かれる途中だそうよ。友人のエリオットもこちらの領地に来ていると聞いて、寄られたんじゃないかしらね」
お母様、なんだか目が泳いでいますよ。先ほどのエリオット様のお話しかり、まさかベルラント家を出し抜いて私を王太子様の婚約者にすえるために、わざわざお呼びしたんじゃないでしょうね?
偶然を装って王太子様に私を紹介しようという魂胆なのね! 出し抜くなんて卑怯だわ! 不適切!
しかし王太子様は、王道のイケメンです。誰もが初めてのルート選択で王太子ルートを選んでしまうほど、非の打ち所がないのです。
そんな完璧な人が、湖に落ちるような間抜けな子を婚約者にしたいと思うはずがありません。
そうだ、私が婚約者に相応しくないと思われれば、向こうから断ってくるはずよ!
それです、それで行きましょう!
私は今日、わざと王太子様に嫌われるような行動をしますね。あたかも偶然王太子様が通りかかったみたいな茶番劇を演じたお母様には悪いけど。
エリオット様には変な子だと思われたくないから、さじ加減が難しいですね。医者じゃないけどさじを投げたい気分です。
あっ、お兄様とエリオット様が屋敷にお戻りになったようです。
「おー、コレット。王太子様がいらっしゃるんだって? 聞いたか?」
お兄様はせっかちだから、私に質問したくせに答えも聞かずに着替えに行ってしまいました。
「コレット、そのドレスとても素敵だね! 黄色とオレンジ色で太陽みたいだ。その色好きなの?」
続いてエリオット様が屋敷に入って来ました。お兄様と違って、ちゃんと女心をくすぐるセリフを言ってくれますね。爽やかに汗を拭きながら歩くエリオット様は、鼻血なしには見られません。
うっと鼻をつまんで鼻血を堪えながら、私は言いました。
「太陽みたいなエリオット様の笑顔をイメージして、ドレスを選んでみたんで……」
……って、アンタも話聞かずに去るんかーい!
はい、今ちょうど王太子様とは関わらないことに決めたところ! 決定ホヤホヤ! そんなところにいきなり何ですか?
……もしや、誰か私の頭の中を見ていますか?
「お母様、なぜ急に王太子様が?」
「休暇で別邸に行かれる途中だそうよ。友人のエリオットもこちらの領地に来ていると聞いて、寄られたんじゃないかしらね」
お母様、なんだか目が泳いでいますよ。先ほどのエリオット様のお話しかり、まさかベルラント家を出し抜いて私を王太子様の婚約者にすえるために、わざわざお呼びしたんじゃないでしょうね?
偶然を装って王太子様に私を紹介しようという魂胆なのね! 出し抜くなんて卑怯だわ! 不適切!
しかし王太子様は、王道のイケメンです。誰もが初めてのルート選択で王太子ルートを選んでしまうほど、非の打ち所がないのです。
そんな完璧な人が、湖に落ちるような間抜けな子を婚約者にしたいと思うはずがありません。
そうだ、私が婚約者に相応しくないと思われれば、向こうから断ってくるはずよ!
それです、それで行きましょう!
私は今日、わざと王太子様に嫌われるような行動をしますね。あたかも偶然王太子様が通りかかったみたいな茶番劇を演じたお母様には悪いけど。
エリオット様には変な子だと思われたくないから、さじ加減が難しいですね。医者じゃないけどさじを投げたい気分です。
あっ、お兄様とエリオット様が屋敷にお戻りになったようです。
「おー、コレット。王太子様がいらっしゃるんだって? 聞いたか?」
お兄様はせっかちだから、私に質問したくせに答えも聞かずに着替えに行ってしまいました。
「コレット、そのドレスとても素敵だね! 黄色とオレンジ色で太陽みたいだ。その色好きなの?」
続いてエリオット様が屋敷に入って来ました。お兄様と違って、ちゃんと女心をくすぐるセリフを言ってくれますね。爽やかに汗を拭きながら歩くエリオット様は、鼻血なしには見られません。
うっと鼻をつまんで鼻血を堪えながら、私は言いました。
「太陽みたいなエリオット様の笑顔をイメージして、ドレスを選んでみたんで……」
……って、アンタも話聞かずに去るんかーい!