ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
「おい、どうした? 俺はこの花は踏みつぶしたが、君のことは踏んでいないぞ。泣くな」
お兄様がメイ様に向かって、手を差し出します。
メイ様は顔を上げ、花を踏みつぶしたお兄様をグッと睨みました。
「何なのよ! 一輪しかなかったのに、思いっきり踏みつぶすなんて! アンタ一体どうしてく……れる……」
お兄様の胸ぐらを掴んで叫ぶメイ様が、みるみるうちに静かにしぼんでいきます。ん? 電池切れちゃった? メイ様、大丈夫?
先ほどまであんなにガラ悪くケンカをしていたのに、何だか人が変わったように大人しくなりました。心なしか、ピンクのブリブリヘアーの隙間から、キラキラパウダーが舞い始めたように見えるのは私だけでしょうか。
「……あの、貴方はどなたですか?」
先ほどとは打って変わって明らかにトーンアップした美声で、メイ様がお兄様に尋ねます。
「俺か? ジェレミー・リード。コレットの兄だが」
「ジェレミー様……! 好きです! 結婚してください!」
え……?
目がハートマークになったメイ様が、お兄様へプロポーズしましたけど。
ちょっと待ってよ。
メイ様、まさかお兄様に……一目惚れしちゃった?
季節外れの冷たい風が、無言で立ち尽くす私たちの間を、再びひゅうっと吹きすさびました。
お兄様がメイ様に向かって、手を差し出します。
メイ様は顔を上げ、花を踏みつぶしたお兄様をグッと睨みました。
「何なのよ! 一輪しかなかったのに、思いっきり踏みつぶすなんて! アンタ一体どうしてく……れる……」
お兄様の胸ぐらを掴んで叫ぶメイ様が、みるみるうちに静かにしぼんでいきます。ん? 電池切れちゃった? メイ様、大丈夫?
先ほどまであんなにガラ悪くケンカをしていたのに、何だか人が変わったように大人しくなりました。心なしか、ピンクのブリブリヘアーの隙間から、キラキラパウダーが舞い始めたように見えるのは私だけでしょうか。
「……あの、貴方はどなたですか?」
先ほどとは打って変わって明らかにトーンアップした美声で、メイ様がお兄様に尋ねます。
「俺か? ジェレミー・リード。コレットの兄だが」
「ジェレミー様……! 好きです! 結婚してください!」
え……?
目がハートマークになったメイ様が、お兄様へプロポーズしましたけど。
ちょっと待ってよ。
メイ様、まさかお兄様に……一目惚れしちゃった?
季節外れの冷たい風が、無言で立ち尽くす私たちの間を、再びひゅうっと吹きすさびました。