ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
 そして夜になりました。ただの夕食のはずだったのに、ちょっと張り切りすぎた感じですね。立食パーティーになっちゃってます!
 王太子様のご訪問は、とっくに決まってたはずです。だって、急に決まったにしては、このパーティー会場の装飾もメニューも準備が良すぎますからね。

 フロアには、スペンサー伯爵夫妻にエリオット様、そして私の父母リード公爵夫妻とジェレミーお兄様。

 子供たちのスペースには丸テーブルが準備され、すぐ横にはテラス。走り回って遊べそう! だって私、一応まだ七歳だから遊びたいです!

 しばらくしてスペンサー伯爵が席を外したと思ったら、あの御方を連れて登場しました。

 レオナルド・ブランデール王太子殿下です!

 うっ……わぁ……正統派イケメン!
 サラサラツヤツヤの金髪、まだ若干九歳のはずなのに堂々とした態度、歩き方にも余裕があります。見れば見るほど、私などが隣に立って良い人ではないです。もっとお似合いの方がいるはずですよ。そう、ヒロインとかね。知らんけど。

 エリオット様が王太子殿下を見つけて駆け寄ります。イケメン二人の握手、抱擁、笑顔! 気の置けない友人って言うんでしょうかね。男同士の友情は素敵です。

 身分を気にせず対等に接する王太子様は、ゲームのキャラ設定通りの印象。人望もありそうです。私も一瞬、気持ちを持っていかれそうになりました。危ない、危ない!


「さあコレット。殿下にご挨拶なさい」


 お母様が私の背中を押します。お母さま……全然私のこと見てないですけど。お母様はレオナルド殿下を、ハートの目で見つめています。
 王太子様に嫌われるためには、どう振る舞うべきでしょう? 子供らしく無邪気な無礼講でいきますか。


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