ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
「殿下! お嬢! お待ちしておりました」
私たちを出迎えたのは、使用人のジェラード。レオ様が私に見せたいものって何なのかしら。ジェラードも一緒に見るの?
ジェラードが先に歩き、レオ様に手を引かれて私たちも続きます。いつもの野菜畑とは違う、少し離れた開けた場所に案内されました。低い木々に囲まれて、外からは見えづらいこの一角。ただ、空は開けていて月がよく見えます。ジェラードが下がり、そこからはレオ様の案内で進むようです。
「ちょっと離れててごめんな、もうすぐだから」
「レオ様、こんなところで一体何を?」
「……ほら、これ! 見覚えあるだろ?」
月明かりの下でレオ様が指さした場所には、何本かの低木。忘れるわけがないじゃないですか、毎日水やりをして何度も見ていましたから。この葉っぱは……
「ムーンライトフラワー!」
「正解!」
レオ様は顔をくしゃっとして笑います。あの時は鉢におさまる程度の大きさだったのに、こんなに大きくなって数も増えて……。意外とレオ様、植物を育てるのお好きだったのですね。すごく嬉しそうです。
「コレットに教えてもらった通り、接ぎ木で増やそうと思ったんだけど上手くいかなくて。ジェラードに手伝ってもらって、ここまで増えた」
「……接ぎ木? 私、そんなこと申しましたか?」
「……うん? コレットが言ったんだよな。接ぎ方が大切だよって」
半年前のことなのに、すっかり忘れましたね。そもそもムーンライトフラワーの育て方には詳しくなかったので、増やし方も知らなかったのですが。でもあの時は、レオ様にお別れを言うことで気持ちがいっぱいでしたから。忘れただけかもしれません。
「ごめんなさい、私その時、別のことで頭がいっぱいだったので……」
「ああ、そうだよな! うんうん、そうだった」
……レオ様、なぜそんなに顔を真っ赤にしてニヤニヤしてらっしゃるの? 私のお別れの言葉が、そんなに嬉しかったですか?
「レオ様、ひどいです。私はあの時、死んでしまいたいくらいの気持ちで申し上げたのですよ!」
「そうか、そんなにも俺のことを……。コレット、本当にありがとう。俺もコレットのことが大好きだ。愛してる。夏至の日になったら、もう一度この花を一緒に見よう」
なんだかイマイチ話が通じませんね。まあ、いいです。
「そうだレオ様、私からのプレゼントも受け取ってくれますか? 自分で作ってみたんですけど……」
まず一つ目。メイに言われたのではなく、自分で考えたプレゼントです。包みをレオ様に渡します。
「……このフワフワしたものはなんだ?」
「ネックピローと言いまして、馬車で移動する時に首が痛くならないように付けるんです! きっとレオ様、これから外国へ行ったりする機会も多いでしょう? 馬車の中で眠りたい時とかに使ってください」
前世の記憶をたどって作ったネックピロー。実用的でいいと思ったのですが、レオ様も気に入ってくれたようです。早速首に付けてモフモフしています。
「そして、もう一つ……こっちはあまり自信がないのですが……」
絶対レオ様が喜ぶからと、メイに言われて準備したプレゼント。メイの発案だから、すごく不安なんだけれど……
ああ、レオ様! そんなに期待に満ちた目で見ないで!
私たちを出迎えたのは、使用人のジェラード。レオ様が私に見せたいものって何なのかしら。ジェラードも一緒に見るの?
ジェラードが先に歩き、レオ様に手を引かれて私たちも続きます。いつもの野菜畑とは違う、少し離れた開けた場所に案内されました。低い木々に囲まれて、外からは見えづらいこの一角。ただ、空は開けていて月がよく見えます。ジェラードが下がり、そこからはレオ様の案内で進むようです。
「ちょっと離れててごめんな、もうすぐだから」
「レオ様、こんなところで一体何を?」
「……ほら、これ! 見覚えあるだろ?」
月明かりの下でレオ様が指さした場所には、何本かの低木。忘れるわけがないじゃないですか、毎日水やりをして何度も見ていましたから。この葉っぱは……
「ムーンライトフラワー!」
「正解!」
レオ様は顔をくしゃっとして笑います。あの時は鉢におさまる程度の大きさだったのに、こんなに大きくなって数も増えて……。意外とレオ様、植物を育てるのお好きだったのですね。すごく嬉しそうです。
「コレットに教えてもらった通り、接ぎ木で増やそうと思ったんだけど上手くいかなくて。ジェラードに手伝ってもらって、ここまで増えた」
「……接ぎ木? 私、そんなこと申しましたか?」
「……うん? コレットが言ったんだよな。接ぎ方が大切だよって」
半年前のことなのに、すっかり忘れましたね。そもそもムーンライトフラワーの育て方には詳しくなかったので、増やし方も知らなかったのですが。でもあの時は、レオ様にお別れを言うことで気持ちがいっぱいでしたから。忘れただけかもしれません。
「ごめんなさい、私その時、別のことで頭がいっぱいだったので……」
「ああ、そうだよな! うんうん、そうだった」
……レオ様、なぜそんなに顔を真っ赤にしてニヤニヤしてらっしゃるの? 私のお別れの言葉が、そんなに嬉しかったですか?
「レオ様、ひどいです。私はあの時、死んでしまいたいくらいの気持ちで申し上げたのですよ!」
「そうか、そんなにも俺のことを……。コレット、本当にありがとう。俺もコレットのことが大好きだ。愛してる。夏至の日になったら、もう一度この花を一緒に見よう」
なんだかイマイチ話が通じませんね。まあ、いいです。
「そうだレオ様、私からのプレゼントも受け取ってくれますか? 自分で作ってみたんですけど……」
まず一つ目。メイに言われたのではなく、自分で考えたプレゼントです。包みをレオ様に渡します。
「……このフワフワしたものはなんだ?」
「ネックピローと言いまして、馬車で移動する時に首が痛くならないように付けるんです! きっとレオ様、これから外国へ行ったりする機会も多いでしょう? 馬車の中で眠りたい時とかに使ってください」
前世の記憶をたどって作ったネックピロー。実用的でいいと思ったのですが、レオ様も気に入ってくれたようです。早速首に付けてモフモフしています。
「そして、もう一つ……こっちはあまり自信がないのですが……」
絶対レオ様が喜ぶからと、メイに言われて準備したプレゼント。メイの発案だから、すごく不安なんだけれど……
ああ、レオ様! そんなに期待に満ちた目で見ないで!