ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
第7話 悪役令嬢は婚約者と対峙する
大丈夫よ。こういう時は思い切り相手の股間を蹴り上げろって、レオ様に習ったわ。やるわよ。
一歩ずつ私に近づいて来る黒い影。
あなたの股間はどこ? どこなの?
「……コレット、俺だよ」
えっ……? 股間が返事した……わけないでしょ。部屋に入ってきた影は、ディラン様の声ではありませんでした。部屋が暗い上に、酔って目もあまり見えなくて、声の主が誰なのか全く分かりません。
「……あ、逆光で見えないか。アランだよ。アラン・ゴールドウィン」
「アラン……? え? アランがこんなところに? ディラン様は?」
扉の方を見ると、廊下に倒れている誰かの足が見えます。
「もしかして、アランがやっつけてくれたの?」
「ははっ……やっつけたやっつけた! 一発殴っただけで伸びてる。弱すぎる」
少しずつ暗闇に目が慣れてきて、見慣れたアランの表情が目に入ります。その瞬間、体中の力が抜けて、私は床に大の字で寝転びました。
「助かった……」
「相変わらず面倒な事件に巻き込まれるね、コレットは」
手を貸してくれたアランの力を借りて、何とか立ち上がります。それでも、酔いはピーク。アランに寄りかからないと歩けないほどフラフラです。それにしても、アランの股間に一発くらわす前に気付いて良かったわ。
「ものすごい酔わされているところ申し訳ないけど、今の内に出発した方がいい。メイが馬車を呼びに行ってくれたから、このまま馬車に乗って。コイツは後から何とかしておく」
「え……でも、ウェンディ様は?」
「あの子もエバンス家の親戚だから、念のため置いていこう。大切な未来の王太子妃様とは、一緒の馬車には乗せられないな」
未来の王太子妃、と言ったアランの言葉が胸にチクリと刺さります。違うわアラン。私は悪役令嬢なのよ。王太子妃にはなれない運命だったの。
「後から馬で追うから、先に出発してて。メイ、頼む」
一歩ずつ私に近づいて来る黒い影。
あなたの股間はどこ? どこなの?
「……コレット、俺だよ」
えっ……? 股間が返事した……わけないでしょ。部屋に入ってきた影は、ディラン様の声ではありませんでした。部屋が暗い上に、酔って目もあまり見えなくて、声の主が誰なのか全く分かりません。
「……あ、逆光で見えないか。アランだよ。アラン・ゴールドウィン」
「アラン……? え? アランがこんなところに? ディラン様は?」
扉の方を見ると、廊下に倒れている誰かの足が見えます。
「もしかして、アランがやっつけてくれたの?」
「ははっ……やっつけたやっつけた! 一発殴っただけで伸びてる。弱すぎる」
少しずつ暗闇に目が慣れてきて、見慣れたアランの表情が目に入ります。その瞬間、体中の力が抜けて、私は床に大の字で寝転びました。
「助かった……」
「相変わらず面倒な事件に巻き込まれるね、コレットは」
手を貸してくれたアランの力を借りて、何とか立ち上がります。それでも、酔いはピーク。アランに寄りかからないと歩けないほどフラフラです。それにしても、アランの股間に一発くらわす前に気付いて良かったわ。
「ものすごい酔わされているところ申し訳ないけど、今の内に出発した方がいい。メイが馬車を呼びに行ってくれたから、このまま馬車に乗って。コイツは後から何とかしておく」
「え……でも、ウェンディ様は?」
「あの子もエバンス家の親戚だから、念のため置いていこう。大切な未来の王太子妃様とは、一緒の馬車には乗せられないな」
未来の王太子妃、と言ったアランの言葉が胸にチクリと刺さります。違うわアラン。私は悪役令嬢なのよ。王太子妃にはなれない運命だったの。
「後から馬で追うから、先に出発してて。メイ、頼む」