ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
 だって私は、悪役令嬢なんですもの。ヒロインが登場してしまったら最後、私は悲劇的な未来へと一直線。悪役令嬢にとって、抗えない運命なのです。

 でも……


「噂を信じたらダメだって過去に何度も学んだはずなのに、申し訳ありませんでした。私この五カ月、本当に寂しかったんです。王妃様が倒れられてレオ様がお忙しいのは分かっていたけど、それでもレオ様がどう過ごしているのかくらい知りたかった……。そんな時に噂を聞いたから、簡単に信じてしまいました。ごめんなさい」


 しばらく真顔で聞いていたレオ様が、力が抜けたようにふわっと笑います。


「……これからは絶対信じて。俺も毎日の公務でいっぱいいっぱいになって、コレットがそこまで追い詰められていたことに気付く余裕がなくてごめん。これからは少し時間も取れるようになると思うし、コレットとの時間を最優先で押さえてもらうようにちゃんとジョージに頼んでおくよ」
「レオ様……」

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