ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
「レオ様……! お待ちください! せめてどこに行くのかくらい教えてくれたっていいでしょう?」
「……」
「レオ様!」


 相変わらず私の言葉は無視してどんどん突き進むレオ様。途中でジョージとすれ違うと、そこで初めて足を止めます。


「ジョージ、ミルズ侯爵家の者が騎士団にいるだろう。調査の上で必要に応じて罷免しておけ。あと、王宮にコレットの部屋を準備しろ! 三時間以内にやれよ!」
「……さ、三時間?! それは無理……って、レオ! 待てよ!」


 ジョージの返事もまともに聞かないまま、レオ様はまた私の腕を引いて歩きます。

 ちょっと、今の対応パワハラじゃない?

 外に出て、馬車に乗せられる私。その馬車の少し先には大荷物を持って呆然と私を見つめて佇むメイ。

 南の島に逃亡するために準備して外でメイを待たせていたのに、何の説明もせずにこのままレオ様と去ったらきっと驚くわよね。動き始めた馬車の窓に張り付いて、必死にジェスチャーで伝えます。

 ……メイ! 私なぜかレオ様に連れ去られて……って、あなたなぜサムズアップしているの?


「座れ、危ない」
「あっ、はい……」


 慌ただしく王宮を出てきてしまったけれど、私これから一体どうなるのかしら。
 やっぱり、海岸近くの冷凍倉庫とかに連れていかれるのかしら。
 それともどこかの湖に……両足だけ水面から出てる感じにされるとか?

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