ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
この夫婦は、時々アホだ。
今時、たかが花の伝説なんて本気で信じる奴はいないだろう。君たちが結婚したのも、花の伝説のおかげじゃないと思うぞ。
「あの花は、レオ様と私以外は立ち入り禁止の場所に密かに植えてあります。だって、間違って他の人と一緒に花を見てしまったらと思うと……恐ろしいわ」
青ざめて震えるコレットを横目に、俺は執務室の窓をガチャっと開ける。ちょうど、この窓から見下ろした場所が王宮の裏側だ。
「ああ、なるほど。あれだな。確かにうっそうと茂ってるな」
振り向くと、目を皿のように見開いて震えながら驚くアホ夫婦が目に入った。まさか、王宮の裏庭なら誰にも見られてないと思ってた?
なんだか君たちは毎日楽しそうだな。うらやましいよ。
結局ムーンライトフラワーは、王宮の裏門近くにある丘の上へ移すことになった。祭りの時には花火も見られる場所で、恋人たちのデートスポットにもなっているらしい。
「まあ、あの場所は……私とレオ様がみんなの前で『待ち合わせ』しちゃった場所ですよね」
「人に見られながらの『待ち合わせ』もなかなかスリリングで良かった……痛っ!」
たかが待ち合わせの話で小突き合うコイツら、こういうのを馬に蹴られて死んでしまえと言うんだ。
もうすぐ夏至。コレットが、ムーンライトフラワーの鉢植えを俺にもプレゼントしてくれた。さて、誰と一緒に一夜花を見ようか。
伝説なんて信じてないけど、夏至の夜に意中の人を誘って共に時を過ごすなんて洒落ているじゃないか。それだけで簡単に恋に落ちる気がする。
……そうだ。思い切って、あの子を誘ってみようか。
今時、たかが花の伝説なんて本気で信じる奴はいないだろう。君たちが結婚したのも、花の伝説のおかげじゃないと思うぞ。
「あの花は、レオ様と私以外は立ち入り禁止の場所に密かに植えてあります。だって、間違って他の人と一緒に花を見てしまったらと思うと……恐ろしいわ」
青ざめて震えるコレットを横目に、俺は執務室の窓をガチャっと開ける。ちょうど、この窓から見下ろした場所が王宮の裏側だ。
「ああ、なるほど。あれだな。確かにうっそうと茂ってるな」
振り向くと、目を皿のように見開いて震えながら驚くアホ夫婦が目に入った。まさか、王宮の裏庭なら誰にも見られてないと思ってた?
なんだか君たちは毎日楽しそうだな。うらやましいよ。
結局ムーンライトフラワーは、王宮の裏門近くにある丘の上へ移すことになった。祭りの時には花火も見られる場所で、恋人たちのデートスポットにもなっているらしい。
「まあ、あの場所は……私とレオ様がみんなの前で『待ち合わせ』しちゃった場所ですよね」
「人に見られながらの『待ち合わせ』もなかなかスリリングで良かった……痛っ!」
たかが待ち合わせの話で小突き合うコイツら、こういうのを馬に蹴られて死んでしまえと言うんだ。
もうすぐ夏至。コレットが、ムーンライトフラワーの鉢植えを俺にもプレゼントしてくれた。さて、誰と一緒に一夜花を見ようか。
伝説なんて信じてないけど、夏至の夜に意中の人を誘って共に時を過ごすなんて洒落ているじゃないか。それだけで簡単に恋に落ちる気がする。
……そうだ。思い切って、あの子を誘ってみようか。