ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
 まあ、いくらコレットでも、自分で自分の妊娠に気付かないなんて有り得ないよな。どれだけ鈍感なんだよって話だ。ある意味良かったよ。俺たちも普通の夫婦になれるかもしれない。

 俺のベッドに腰をかけさせて、侍医が診察を始めた。お腹を押すと苦しそうな顔をするコレットを見ていると、王宮の食事ももう少し改善しなければと思ったよ。
 コレットの脈を測り終わった侍医が、袖を下ろしながら言う。


「話の流れ的に大変申し上げづらいのですが、王太子妃殿下、ご懐妊です。おめでとうございます」


「「ええっ!!」」


 話についていけず、口を開けて呆然とする俺たちを無視して、侍医の診察は続く。
 何だか色々聞かれてるけど、全然頭に入ってこない。便秘なのか、妊娠なのか。一体何がどうなってるんだ?


「妊娠すると便秘になる方も多いですから。既に妊娠五ヶ月の安定期でございますが……お気付きではなかったでしょうか」
「全く気付かなかった……ですね」



 ああ、そうか。

 俺たちが普通の夫婦になれるわけがなかった。相手は、あの妄想専門家のコレットだぞ。
 妊娠疑惑からの、実は便秘だった告白、そして事実はやっぱり妊娠だ。どれだけ振り回されるんだよ。

 でも、俺はこんな毎日が楽しい。あっちにこっちに心が揺られて大変だけど、予想がつかないワクワクする毎日をくれたコレットに感謝してる。


 ありがとう。


「レオ様、びっくりですね!」
「びっくりだよ、色んな意味で」
「でも大丈夫です! 私、ルイーズの離乳食も作っていたし、読み聞かせ用の絵本もたくさん持ってます。編み物だってできるし」


 それは準備万端だな。妊娠に気付いてなかったのに準備だけはできてるなんて、さすがコレット。ぶっ飛んでる。
 本格的な冬が来る前には、俺たちに家族が増えるらしい。どんな凶悪な子が生まれてきたって、王宮にいる全員がエドワードのせいで慣れてるから大丈夫だ!

 安心して生まれて来いよ。みんなで待ってるから!


。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。

番外編もここで完結です!
最後までありがとうございました!

注)妊娠中及び妊娠の可能性のある方は決してコレットの真似をしないでください(馬に乗る、薬服用などについては、現実世界の医師の指示に従ってください)
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