ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
 そう言えば、最近殿下とほとんどお話をしていませんね。生徒会室にも来ないし、休日も特に一緒に過ごすこともありません。一体殿下は何をしているのでしょうか。まさか……ヒロインと密会?!


「レオは、本当にこの国を変えようと頑張ってるよ。納得できないことはとことん細かく突き詰めていくタイプだからな。生徒会長になって、学校のことと国のことを両立する今の生活は大変だと思う。それにあのキラキラした外面をキープするのだって、相当苦労がいるよな」


 国を変えようと頑張っている? ……プッ、あの殿下が?! なんて言ってはいけません。殿下が人一倍真面目で努力家なのは、一応私も知っています。自分の責任は、絶対に投げ出さない人ですからね。
 もしかして、外で頑張って気を張っている分、私に本性をさらけ出してストレス発散しているのかもしれません。いい迷惑ですけど。

 明日のジョージの出会いイベントも、忙しくて行けないなんて言っていました。放課後に私は一人でヒロインをいじめて、ジョージのいる裏庭にヒロインを誘導しなければいけません。

 イジメの方法は、もう決めています。ヒロインが外を歩いているところに、教室の二階の窓から水をかけるのです。


「あ~ら! ピンク色のお花が咲いているのかと思いましたわ~! オホホホホ~!」


 って言う予定。

 ちゃんと左手に消えない油性ペンで、セリフもメモしておいたので安心です。ヒロインはお洋服が濡れたら更衣室に向かうはずですよね。更衣室に行くには、裏庭を通る必要があるのです! そこでジョージと出会う。完全なる犯罪!……じゃなかった、完全なる計画!

 もう、この私の健気な計画を、誰か褒めてほしいです。
 ふう……最近あまり食べていなかったからか、興奮したらフラフラしてきましたので、もう寝ますね。

 ジェレミーお兄様の言っていた、「エリオット様の女性の好み」が気になって、夢に出てきそうですけど。
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