ヒロインよ、王太子ルートを選べ!

第10話 ヒロインVS悪役令嬢

 一晩眠ったら、心も体もスッキリとしたコレットです。一応私も悪役令嬢のはしくれですから、自己肯定感は高めでいきましょう。
 春の空気を楽しむために、今日のランチは外で食べてみるのもいいかもしれません。

 ということで今日は、リンゼイとお外ランチにしました。


「リンゼイ、昨日はお水をかけちゃってごめんね。風邪をひかなくて本当に良かった」
「いいのよ! エリオット様がタオルを貸してくれたし。実はあの後エリオット様と話して、今度、滝行に連れて行ってくださることになったの! いい滝をご存じなんですって」


 へえ、エリオット様、いい滝をご存じなんだ。二人で仲良く滝に入って、びしょびしょに……。

 ……って、いけないわコレット! ここは想像力を働かせるところではありません!


「リンゼイ。私いろいろと考えたんだけど、エリオット様とあなたは最高のカップルだと思う。滝行デートコースを満喫できるのは、世界を探してもあなたたち二人だけよ」


 また顔を赤くして微笑むリンゼイ。いや本当に、悔しいくらいにお似合いです。最高の組み合わせです。リンゼイはエリオット様にふさわしいお相手だと思います。
 私もなんだか気持ちが一気に吹っ切れました。

 エリオット様は、私が七歳の頃からずっと片思いだった方ですから、もちろん寂しい気持ちもあります。

 それでも逆に、新たな人生が始まったようなワクワク感もあるのです!

 これからどんな新しい生活が待っているのかな。

 修道院に送られるのかな、
 国外追放になるのかな、
 一生放置プレーかな、
 孤児院で働くのかな……

 ……うっ、うぅぅ。全然ワクワクしないじゃないの。涙を拭きたいのに、昨日鼻水拭いた殿下のハンカチしか持ってないや。


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