ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
♪堪忍袋 それは 強く
♪堪忍袋 それは 儚く
♪ああ 私の 堪忍袋よ 永遠に
以上、コレット・リード作詞作曲『我が愛しき堪忍袋』でした。
強いの? 儚いの? 私の堪忍袋はどっちでしょうか? 答えは、どっちでもない! ぶっち切れですよぉぉっ!!
「殿下!!」
私は、メイ様が散らかした椅子を机の下にそっと戻し、大声で言いました! 今日という今日は許しません! 今までたまっていた鬱憤を、全部ぶちまけてやるわ!
「殿下の思いって何ですか? 私の目の前でヒロインといちゃいちゃしたいってことですか? 国外追放やら強制労働やら辺境で孤独死やら、私がそういう不幸な目に合うのを見たいってことですか? この鉢植えの件だって、マティアスに調べてもらっていたムーンライトフラワーの件だって、私がやることなすこと全て邪魔したいってことですか?」
「コレット、ちょっと待っ……」
殿下がひるみます。負けませんよ。
「私だって、自分にどんな未来が待っているのか不安でたまらないんです! それを殿下は気にしないばかりか逆に人の不幸を楽しんで、私のことなんてどうだっていいと思ってるんですよね?!」
ああ、殿下を責める口が止まりません。こっちが人生の行く末を憂いているというのに、単なる鉢植えの置き場所を気にしているなんて、なんてお気楽な人なのかしら。
「大体ね、私がヒロインのこと『可愛かったですね』って言った時も、鼻の下伸ばしてデレデレしていたじゃないですか。ああいう時は嘘でも、コレットの方が可愛いよって言うんですよ! なにが、『ああ、可愛かった。すごく』ですか。どれだけ私のことを馬鹿にしているの? どうせ私は可愛くなくてすみませんでしたねっ!!」
「……ちょっと待て! 俺はメイのことが可愛かったなんて、そんなことは言ってない!」
殿下が急に開き直って、変な主張をしてきました。いいえ、確かに言いましたよ。すごく可愛かったって。顔も赤くして外を見ていたじゃないですか。さっきから殿下、言った言わないの話ばかり。記憶喪失ですか?
「いや、あれはむしろ、お前が急に俺の食べ物をかじってモグモグして逃げたから……それがなんか可愛いなって……」
は? 私……?
「しかも俺の毒見のためだし、なんか嬉しかったから……」
……いやいや! そういう話じゃなかったですよね。しかも、毒見した時大きなため息ついてましたよ。
さっきまでものすごい勢いで怒っていたのに、急にそんなしおらしくなったら、こっちもどうしたらいいか分からないじゃないですか。やめてよ殿下。
「お前、『メイが』可愛いですよね、なんて言ったか?」
「……?」
♪堪忍袋 それは 儚く
♪ああ 私の 堪忍袋よ 永遠に
以上、コレット・リード作詞作曲『我が愛しき堪忍袋』でした。
強いの? 儚いの? 私の堪忍袋はどっちでしょうか? 答えは、どっちでもない! ぶっち切れですよぉぉっ!!
「殿下!!」
私は、メイ様が散らかした椅子を机の下にそっと戻し、大声で言いました! 今日という今日は許しません! 今までたまっていた鬱憤を、全部ぶちまけてやるわ!
「殿下の思いって何ですか? 私の目の前でヒロインといちゃいちゃしたいってことですか? 国外追放やら強制労働やら辺境で孤独死やら、私がそういう不幸な目に合うのを見たいってことですか? この鉢植えの件だって、マティアスに調べてもらっていたムーンライトフラワーの件だって、私がやることなすこと全て邪魔したいってことですか?」
「コレット、ちょっと待っ……」
殿下がひるみます。負けませんよ。
「私だって、自分にどんな未来が待っているのか不安でたまらないんです! それを殿下は気にしないばかりか逆に人の不幸を楽しんで、私のことなんてどうだっていいと思ってるんですよね?!」
ああ、殿下を責める口が止まりません。こっちが人生の行く末を憂いているというのに、単なる鉢植えの置き場所を気にしているなんて、なんてお気楽な人なのかしら。
「大体ね、私がヒロインのこと『可愛かったですね』って言った時も、鼻の下伸ばしてデレデレしていたじゃないですか。ああいう時は嘘でも、コレットの方が可愛いよって言うんですよ! なにが、『ああ、可愛かった。すごく』ですか。どれだけ私のことを馬鹿にしているの? どうせ私は可愛くなくてすみませんでしたねっ!!」
「……ちょっと待て! 俺はメイのことが可愛かったなんて、そんなことは言ってない!」
殿下が急に開き直って、変な主張をしてきました。いいえ、確かに言いましたよ。すごく可愛かったって。顔も赤くして外を見ていたじゃないですか。さっきから殿下、言った言わないの話ばかり。記憶喪失ですか?
「いや、あれはむしろ、お前が急に俺の食べ物をかじってモグモグして逃げたから……それがなんか可愛いなって……」
は? 私……?
「しかも俺の毒見のためだし、なんか嬉しかったから……」
……いやいや! そういう話じゃなかったですよね。しかも、毒見した時大きなため息ついてましたよ。
さっきまでものすごい勢いで怒っていたのに、急にそんなしおらしくなったら、こっちもどうしたらいいか分からないじゃないですか。やめてよ殿下。
「お前、『メイが』可愛いですよね、なんて言ったか?」
「……?」