ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
 ちなみに、円卓会議は今日で二回目だそうです。

 本日の議題は、私にこれまでの経緯を説明すること。
 そして、これから私たちがどう動いていくかの作戦を立てること。

 これは、私にとっても願ったり叶ったりです。

 私にとっては「突然殿下が私のことを好きだと言い始めた」という状況でしかないのですが、殿下や攻略対象の皆様から見た事実は、それとは異なるかもしれませんから。これまでは都合のいい手下だった人に突然愛情を感じるなんて、普通に考えればあり得ないことですもの。

 きっとそこに至る過程で、私の知らないことがたくさんあったのだと思います。それを知るいい機会ですね。


「コレット。ここにいる全員が、コレットの味方だ。ヒロインがどのルートを選んでも、絶対に守るから。だから、安心して話を聞いてほしい」


 殿下が神妙な面持ちで言います。
 しまった! 対角線上に座ってしまったので、殿下とまっすぐ顔を見合わせる形になってしまいました。直角の席にすればよかったかも。

 それから殿下は、私と出会ってから今までのことを、たくさん教えてくれました。

 エリオット様ルートでは国王陛下の一存で私が断罪された上に命を落としてしまうので、絶対にエリオット様ルートには進めたくなかったこと。その他のルートではレオナルド殿下の意志さえしっかりしていれば私を悲劇的な結末から守れると考え、この四人のルートの中のどれかに引き入れようとしたこと。

(だから殿下は、全員の出会いイベントを発生させようとしていたのか!)

 そして万が一のために、国王陛下や王太子殿下の一存で勝手に私を断罪できないよう、法律を調えて予防線を張ろうとしていること。そのために二年間留学して法律を学んだこと。
 私の知らない間に何年もかけて、殿下がこのゲームを乗り切ろうとしてくれていたことを知りました。


「そんなに前から私のことを……」


 あら、私ちょっと涙声になっていますね。殿下が私のために色々と考えてくれていたことが嬉しい……?
 もちろん、そうです。でも、私の涙の理由はそれだけではありません。

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