ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
 未来に起こる悲劇は私自身のことなのに、私はただ怖がるだけで未来を変えようと行動を起こすこともなかった。殿下が二年間も留学している間、私はここぞとばかりに羽を伸ばして自由を謳歌したのです。
 あの二年の解放感と言ったら……!

 私は公爵令嬢という地位に甘んじて、どこかで誰かが助けてくれると甘えていたのかな。国外追放とか貴族の身分剥奪とか、言葉じりだけで捉えて、実際の生活も何もイメージできていなかったのかな。
 何だか、少し自分が恥ずかしいです。殿下だけではなくここにいる三人までもが、私の未来を変えようと動いてくれているのに。


「今日はコレットを安心させるために、いくらでも説明の時間を取ろうと思っている。何か質問はないか?」


 今日は最後にまとめて質疑応答ではなくて、随時質問受付可能のようです。良かった! 忘れないうちに質問ができますから、今一番聞きたいことを聞いておきましょう。


「それでは、一つ質問よろしいでしょうか」
「いいよ、何でも聞いてくれ」
「エリオット様ルートだけではなく、この四人のルートを全てつぶすという選択肢はなかったのですか?」


 ……。

 ……あれ?

 …………あれれ?

 なぜ皆さん沈黙しているの?
< 82 / 244 >

この作品をシェア

pagetop