ヒロインよ、王太子ルートを選べ！

　夜会が終わり、私たちはあの円卓の部屋に集合しています。メイ様にちょっかいを出されて疲れた私は一刻も早く帰りたかったのですが、ちょっとしたトラブルが発生したからです。

　……ドレスに飲み物をこぼしたメイ様が、その後忽然と姿を消したのです！

　招待客は半数以上が王宮を後にしていたものの、レーマン伯爵夫妻が大騒ぎしたことで広間はちょっとした騒ぎになりました。中には、私がメイ様をイジメたから傷ついて逃げ出したのではないかと噂を始める女性たちもいて、殿下がとりあえず私をこの部屋に避難させたのでした。


「アラン、控室まで連れて行ったのはアランか？」


　殿下がアランに問います。


「ああ、控室の前までは一緒に行った。着替えが終わった後にどこに行ったかまでは……」
「そうか。きっとその足で、レーマン伯爵を待たずに外に出たんだろうな」

　メイ様の行方についての調査は始まっているので、本当は私たちが動く必要はありません。でも殿下は、私がメイ様をイジメたから行方不明になったんじゃないかという変な噂が流れ始めていることを気にしているようです。

　円卓の部屋での集まりは、重苦しい空気に包まれています。


　……しかし、深刻そうな表情で話をしていますが、実は腹の底では全員が気付いていると思います。このメイ様の失踪が、アランルートのイベントであることに！