【WEBTOON】断食魔女と肉食神官~拾った子供が聖女に選ばれた魔女のお話~【コミカライズ】
「どれどれ……うん、美味しいです。
だけど私は、ジャンヌ殿が作って下さる食事が一番好きですね」

「は?」


 わたしはともかく、いつの間に神官様の味覚は変わってしまったんだろう? そもそも、言うほどレパートリーを披露してないんですけど。


「こんなところで気を使わなくて大丈夫です。あんな手抜き料理と一緒にされたら、シェフが気の毒ですよ」


 こちとらおかず一品にかける時間は三十分でも長いと感じるぐらい面倒くさがりなわけで。調理法は煮るか焼くかの二択しかないし、とにかく効率重視なんだから。


「料理っていうのはお金や手間暇をかければ良いってもんじゃないでしょう? 調理時間五分の料理が、数日間掛けて作ったソースに勝ることだって普通にありますし」

「……言いたいことは分かりますけど」


 正直わたしはインスタント食品もファストフードも大好きだった。
 添加物の味なんて気にならなかったし。
 料理に時間をかけるよりも、他のことに使いたいっていうタイプだ。

 しかし、マヨネーズにケチャップ、ホワイトソースにデミグラスソース……。これらは現世では全部、自分で作らなきゃ手に入らない。今更ながら、各種食品メーカー様の企業努力を心から称賛してしまう。

 神官様が言うような五分で作れるお料理は、現世では皆無に等しい。カップラーメンも卵かけご飯も、手間暇なしには味わえないのだ。


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