【WEBTOON】断食魔女と肉食神官~拾った子供が聖女に選ばれた魔女のお話~【コミカライズ】
「私はジャンヌ殿が朝食に出して下さるおにぎりと味噌汁が好きです」

「え? ああ――――ありゃあ一億云全万人のソウルフードですから当然です」


 何百年(多分そのぐらい)もの時間をかけて、無駄なくシンプルに仕上げられた料理だもの。歴史の浅いオシャレフードが勝てるわきゃない。

 まあ、味噌はバラエティ番組で培った知識を元に、魔法で似たものを作り上げただけの紛い物なんだけど。


「それから、卵をケーキみたいに焼いたもの。あれも美味しかったです」

「あれもソウルフードってやつです。
でも、別に普段食べてるスクランブルエッグや目玉焼きと大差ないでしょう?」


 卵焼きについては無駄に手間がかかるけど、時々無性に食べたくなる。やっぱり魂に染み付いているんだろうなぁ。
 味付けについては甘かったりしょっぱかったり、わたしの気分に合わせて変わっているんだけど、神官様はそんなんでいいんだろうか?


「私はね、『面倒くさい面倒くさい』と言いながら作り上げられたお料理に、とてつもない愛情を感じるんですよ」

「それはまた――――とてつもない勘違いですね」


 本気にするだけ馬鹿らしい。
 怒る気力もなくなって、わたしはアハハと声を上げて笑ってしまった。


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