【WEBTOON】断食魔女と肉食神官~拾った子供が聖女に選ばれた魔女のお話~【コミカライズ】
「ええ。昨晩、神殿に到着したマリア様は、カルチャーショックというか……色んなことに驚いていらっしゃいました。『お風呂にシャワーがない』と仰ったり、『飲み物が冷たくない』と仰ったり、我々の常識とは少々違う所で生きていらっしゃったご様子。ですから、私はマリア様を理解するために、この家のことを知るべきだと思ったのです」

「…………それ、今思いついた言い訳でしょう?」


 ペラペラと淀みなく口が動いているけれど、どことなく胡散臭い。っていうか、私利私欲に塗れているように思えてならない。


「まあまあ。それで、シャワーとは一体どのようなものなのです?」


 神官はそう言って、瞳をキラキラと輝かせる。この男……これまできっと、顔だけで色んなことを乗り越えてきたに違いない。
 顔面国宝級――――前世に居たら、間違いなく芸能界へのスカウトがわんさか来ていただろう。こっそり写真を撮られて、SNSで拡散されまくって、生きてるだけで尊いとか、笑うと凶器とか称されて。勝手に貢がれ、何不自由ない裕福な生活を送っているのが目に浮かぶ。
 胡散臭いことこの上ない。わたしは好きになれないけど。


「別に、ジョウロと同じですよ。ただ、コンスタントにお湯が出せるっていうだけで」


 どのようなもの? って尋ねられたところで、そもそもわたしが考えたものじゃないし。仕組みや構造もよく分かってないし。
 ラッキーで魔力を授かったから、よく分からない部分を魔法で無理やり何とかしているだけだもん。聞かれたって答えられる筈がない。


< 14 / 222 >

この作品をシェア

pagetop