【WEBTOON】断食魔女と肉食神官~拾った子供が聖女に選ばれた魔女のお話~【コミカライズ】
 人は裏切るもの。
 人は嘘をつくもの。


 人はきっと、一人の人間を生涯愛し続けることなんてできない――――そんなふうに作られている。

 できないものはできないと、最初からそう言ってもらったほうがずっと良い。不可能な約束をするのは、互いにとって不幸だ。少なくとも、わたしはそう思うから。


(よし……いけそうな気がする)


 理論武装の甲斐あって、ようやくわたしは神官様に向き合えるような気がしてきた。

 これだけ御託を並べたら、さすがの神官様も嫌気がさすだろう。

 大丈夫。
 きっと大丈夫だ。


 マリアとの約束を守るため、わたしは急いで身支度をはじめる。
 だけどその時、何処からかコンコンコンって小さな音が聞こえた気がした。


(ん? 木ノ実でも落ちたかな?)


 このぐらいのこと、森の中では日常茶飯事だ。
 気を取り直して着替えを続ける。

 だけど数秒後、もう一度、さっきよりも大きくコンコンコンって聞こえてきた。


「誰?」


 上着を引っ掛けながら、戸口に向かう。


「迎えに来ましたよ、ジャンヌ」


 その瞬間、鼓動が一気に早くなる。
 扉の前に立ち尽くし、わたしは密かに息を呑んだ。
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