【WEBTOON】断食魔女と肉食神官~拾った子供が聖女に選ばれた魔女のお話~【コミカライズ】
「貴女が神殿に連れて行った聖女様! あの女の子は、この子と全く同じ顔をしていました」

「――――それが何か? 他人の空似など、よくあることでしょう?」


 この女性はさっきから、一体、何を被害者ぶっているのだろう?
 止むに止まれぬ理由? そんなの、孤児院や神殿を頼ろうともせず、無慈悲に子供を捨てた人間が口にして良い言葉じゃない。

 わたしはこの人がマリアの母親だなんて認めない。
 認めたくない。


 マリアはお伽噺の桃太郎みたいに、あの森で一人で生まれて、わたしに拾われて、それから育てられた――――それで良いじゃない。あの子を捨てた人間が目の前にいるだなんて、信じたくないんだもの。


「貴女ももう、気づいているのでしょう? 聖女様はきっと、私の娘です! 私がお腹を痛めて産んだ、私の子供です! どうか、あの子に会わせてくれませんか?」

「お断りします!」


 わたしはもう、我慢ができなかった。
 とめどなく流れる涙をそのままに、わたしは目の前の女性を睨みつけた。


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