【WEBTOON】断食魔女と肉食神官~拾った子供が聖女に選ばれた魔女のお話~【コミカライズ】
「『願い事を叶えてくれる人が、必ずしも優しいってわけじゃない』」
「……え?」
「以前ジャンヌ殿が、マリア様にお伝えしていた言葉です。
貴女の言う通り、人々はとかく、自分のために動いてくれる人、願いを叶えてくれる人を『優しい』と感じがちです。
けれど、私もそれだけが優しさではないと思っています。
ときに厳しい言葉を投げかけ、嫌われ役を買ってでも、『何が一番その人のためになるのか』を考えられる人は、そう多くはありません。
貴女は、人々を導くことができる人です。誰かのために、本気で親身になれる人です。
マリア様を手放したのだって、彼女の幸せを思ってのことでしょう? 今日神殿に訪れた人々には、そんな貴女の優しさが伝わったんじゃないでしょうか?」
神官様はそう言って、布団ごとわたしを抱き締める。じわじわと、温もりが心と体を侵食していく。
わたしは小さく首を横に振った。
「……違うわ。わたしはただ、あの子の世話をするのが面倒だっただけ。全部、全部自分のためだもん」
「嘘をつきなさい。あんなに寂しがっていたくせに、私の前でまで強がらないでください」
神官様が苦笑する。目頭がじわりと熱くなった。
「私に対して『嫌だ』、『嫌いだ』と言うのと同じように、寂しいときは人に甘えてください。苦しいときは苦しいと言ってください。いろんなことを抱え込んで、一人になるのはもう止めてください」
「わたし、寂しいなんて言ってないもの! 苦しいだなんて、一言も……!」
言葉とは裏腹に、瞳から涙がこぼれ落ちる。
なんで? いつから?
わたしはどうして泣いているの?
わからない。自分の心が、ちっとも理解できない。
ポロポロと止めどなく流れる涙を、神官様は優しく拭った。
「……え?」
「以前ジャンヌ殿が、マリア様にお伝えしていた言葉です。
貴女の言う通り、人々はとかく、自分のために動いてくれる人、願いを叶えてくれる人を『優しい』と感じがちです。
けれど、私もそれだけが優しさではないと思っています。
ときに厳しい言葉を投げかけ、嫌われ役を買ってでも、『何が一番その人のためになるのか』を考えられる人は、そう多くはありません。
貴女は、人々を導くことができる人です。誰かのために、本気で親身になれる人です。
マリア様を手放したのだって、彼女の幸せを思ってのことでしょう? 今日神殿に訪れた人々には、そんな貴女の優しさが伝わったんじゃないでしょうか?」
神官様はそう言って、布団ごとわたしを抱き締める。じわじわと、温もりが心と体を侵食していく。
わたしは小さく首を横に振った。
「……違うわ。わたしはただ、あの子の世話をするのが面倒だっただけ。全部、全部自分のためだもん」
「嘘をつきなさい。あんなに寂しがっていたくせに、私の前でまで強がらないでください」
神官様が苦笑する。目頭がじわりと熱くなった。
「私に対して『嫌だ』、『嫌いだ』と言うのと同じように、寂しいときは人に甘えてください。苦しいときは苦しいと言ってください。いろんなことを抱え込んで、一人になるのはもう止めてください」
「わたし、寂しいなんて言ってないもの! 苦しいだなんて、一言も……!」
言葉とは裏腹に、瞳から涙がこぼれ落ちる。
なんで? いつから?
わたしはどうして泣いているの?
わからない。自分の心が、ちっとも理解できない。
ポロポロと止めどなく流れる涙を、神官様は優しく拭った。