(琉衣くんは)極甘な国に閉じこめたい


「べべべ…勉強は?
 そうだよ! 私は勉強をしに
 琉衣くんのお家に来たんだった」


私は急いで
世界地理の教科書を開く。


そんな私に気づいた琉衣くんは
机に片手をつくと

「ごめんね」と言いながら

私が開いた教科書を
ぱたりと閉じた。


「家庭教師のお兄さんに
 なりきるのは、僕には無理だった」


「もしや……
 私がおバカすぎて?」


「違うよ。
 小雪ちゃんが可愛すぎて。

 大好きな子と二人だけの空間で
 勉強になんて、集中できないよ」


「///」



私に背を向けた琉衣くん。


どんな行動を起こすのか
予知不可能。

つい、目で追ってしまう。
    


琉衣くんは
スーツのジャケットを脱ぎ
ハンガーにかけた。


アイロンがピシッとかかった
白いシャツがあらわになって

アクアブルーの
綺麗なネクタイが映える。



琉衣くんは
広い部屋を一周しながら

次々とカーテンを
閉め始めちゃった。



ひゃぁぁぁぁ~~

全部のカーテンが閉まって

部屋が薄暗くなっちゃったよ。



真っ暗ではない。

カーテンの隙間から入る
かすかな光のおかげで

大好きな人の顔は
ちゃんと見えているから。

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