(琉衣くんは)極甘な国に閉じこめたい
破裂しそうな心臓を抑え
なんとか立ち上がった私。
目の前に立つ琉衣くんと
視線が絡んで
ビクリ
ちょっと怖くなって
ズズズと後ずさり。
琉衣くん、急にどうしちゃったの?
真剣すぎるその表情。
トレードマークの優しい笑顔も
一切なくなっちゃったし。
琉衣くんが
獲物を追い詰める野獣に
見えちゃうんですけど……。
薄暗い部屋。
冗談が一切通じないような
張り詰めた空気が
私と琉衣くんの間に流れている。
「耳にキスだけじゃ
僕は満足できないみたい」
琉衣くん
これ以上私に近づかないで。
「小雪ちゃんの耳より甘いところ
どこかな?」
だから私に、迫らないでってば。
後ろ向きのまま
私は一歩ずつ下がってみたけれど
もうこれ以上は逃げられない。
私の背中が
ドン
壁にぶつかっちゃったから。