幸せな離婚
チリンチリンッと鳴る涼しい風鈴の音で目を覚ました。
時計の針はもうすぐ17時を指そうとしている。
いつの間にか眠ってしまったようだ。
床に転がっていたタオルを拾い上げて滝のような汗を拭いキッチンへ向かう。
生井家では17時から夕食作りをするというルールがある。
リビングのソファに横になり韓ドラを流しながらうたた寝している義母を起こさないように足音を立てずに静かに歩く。
冷蔵庫から取り出した冷えた麦茶で乾いた喉を潤すと、夕食の支度を始める。
一汁三菜の和食中心の献立にするよう義母から指示を出されているけど、健太郎はそれが気に入らないらしい。
脂っこいジャンクフードを好む健太郎は結婚してからというもの外食をすることが多くなってしまった。
『どうして健太郎は外食ばかりするのよ。主人の胃袋を掴むのは妻の勤めでしょ?』
それを義母につつかれ肩身の狭い思いをしていることを健太郎は知らない。
食事作りが終わるといつも暇を持て余してしまう。
夕食の時間は19時だ。
再び階段を上がり部屋に入ると、紙袋に入ったくず餅に目がいった。
「くず餅……美味しいのにな……」
くず餅は好きだけど、一人で食べたくはなかった。
そう呟いた時、チリンッと再び風鈴の音が鳴った。
そっと外を見やる。
太陽の日差しが日中に比べていくらか和らいでいる。
「……そうだ。瀬戸さんの家に持っていこう」
くず餅をわざわざ買いに行くぐらい好きだと言っていたし、どうせなら喜んでくれる人に食べてもらいたい。
私は義母に少し出かけると声をかけると、くたびれたサンダルを履いて家を出た。
ジリジリとした暑さにすぐに汗が噴き出してくる。
だけど、なんだか気分がいい。予定があるのが嬉しかったのだ。
時計の針はもうすぐ17時を指そうとしている。
いつの間にか眠ってしまったようだ。
床に転がっていたタオルを拾い上げて滝のような汗を拭いキッチンへ向かう。
生井家では17時から夕食作りをするというルールがある。
リビングのソファに横になり韓ドラを流しながらうたた寝している義母を起こさないように足音を立てずに静かに歩く。
冷蔵庫から取り出した冷えた麦茶で乾いた喉を潤すと、夕食の支度を始める。
一汁三菜の和食中心の献立にするよう義母から指示を出されているけど、健太郎はそれが気に入らないらしい。
脂っこいジャンクフードを好む健太郎は結婚してからというもの外食をすることが多くなってしまった。
『どうして健太郎は外食ばかりするのよ。主人の胃袋を掴むのは妻の勤めでしょ?』
それを義母につつかれ肩身の狭い思いをしていることを健太郎は知らない。
食事作りが終わるといつも暇を持て余してしまう。
夕食の時間は19時だ。
再び階段を上がり部屋に入ると、紙袋に入ったくず餅に目がいった。
「くず餅……美味しいのにな……」
くず餅は好きだけど、一人で食べたくはなかった。
そう呟いた時、チリンッと再び風鈴の音が鳴った。
そっと外を見やる。
太陽の日差しが日中に比べていくらか和らいでいる。
「……そうだ。瀬戸さんの家に持っていこう」
くず餅をわざわざ買いに行くぐらい好きだと言っていたし、どうせなら喜んでくれる人に食べてもらいたい。
私は義母に少し出かけると声をかけると、くたびれたサンダルを履いて家を出た。
ジリジリとした暑さにすぐに汗が噴き出してくる。
だけど、なんだか気分がいい。予定があるのが嬉しかったのだ。