幸せな離婚
「あ~、朝から疲れたぁ。あそこまで言うなら自分で行けばいいのにさっ」
駐車場の車に乗り込むと息苦しいまでの暑さが全身を覆う。
急いでエンジンをかけて冷房を入れるも、むわっとした熱風が前髪を揺らす。
でも、一人になれたことで少しだけ開放的な気持ちになって愚痴をこぼす。
とにかく喉も渇いたし、お腹も空いた。ぐうっとお腹が鳴る。
空腹は我慢できても、喉の渇きだけはどうにも我慢ならない。
「よし、散財しよう!」
コンビニでキンキンに冷えた100円のアイスコーヒーを買おう。
姑が嫌がる健太郎のお金を散財する。
たった100円。されど、100円。
そう決めた途端、ほんの少しだけ暑さが和らいだ気がした。