【完結】好きな人と同期に挟まれました〜叶わない恋だとしても〜


 だけど段々と聖のことが分かってきて、聖とは気の合うような気がした。 
 困ってる時は手を差し伸べてくれて、それでいて男らしくて、ちょっと強引で……。

 そんな聖のことを、私は信頼してる。 医者としても素敵だと思うし、聖はとても信頼できる医者だ。
 そんな聖に好きになってもらえて、本来なら私は幸せなはずなのに……。

「……なんでなのかな」

 どうしてこうも、素直に受け入れられないんだろう……。その理由は、何……?

「俺は本気だから、おまえのこと」

 そう言われたあの日、確かに心が揺れた。揺れたのは、確かなのに……。

「……私、どうかしてるのかな」

 なんで、なんでこんなにも心が揺れるのだろう……。

「もう、分かんないよお……」

 はあ……。ため息しか付けない私は、中途半端に生きてるってことなのかな。

「……真剣に、考えないと、だよね」

 聖はあんなに好きだって言ってくれてるのに、私は逃げてるだけ。……そんなの、聖に申し訳ない。

 思い立った私は、聖に電話をかけた。

「もしもし、聖?」

「花霞? 珍しいな、おまえから電話してくるなんて」

「あのね、聖に話したいことがあるの」

 ーーー私はもう、逃げない。
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