【完結】好きな人と同期に挟まれました〜叶わない恋だとしても〜
「……ご、ごめん先生!」
「え?」
驚く先生に、私は「い、今のは冗談だから! 忘れて!」と明るく振る舞うことにした。
そう、これは気のせい。 そういい聞かせることした私は、先生に冗談だと告げたんだ。
「……冗談?」
先生の表情は、冗談だったのか?というような表情をしていたけど、私は敢えて気付かないフリをした。
「そう。……冗談」
「なんだ、驚いたよ。 花霞が突然、そんなこと言うから」
先生の言葉に、私は「そうだよね。……驚かせて、ごめんなさい」と伝える。
違う、こんなのは冗談なんかじゃない。 冗談なんか……じゃないのに。
でもこうしないと、私は先生との境界線を越えてしまいそうだった。 だから私は、それを冗談として伝えるしかなかったんだ。
この気持ちを伝えて、先生に迷惑をかけたくなかった。
「じゃあ、私……次で降りるので」
降車ボタンを押し、先生にそう伝える。
「あ、ああ……そうか」
本当は、先生とこのまま離れたくない。一秒でも長く、先生の隣にいたいだなんて……。
そう思ってはいけないのに、私の中のもう一人の私が、それを阻もうとする。
「じゃあ……お疲れ様でした」