【完結】好きな人と同期に挟まれました〜叶わない恋だとしても〜
私はバスが停留所に到着すると、逃げるようにバスから降りた。
傘を広げて背を向けて歩き出すと、私は自分が泣いていることに気付いたーーー。
「えっ……なんでっ……」
なんで私、泣いてるの……? どうして……。
「っ……ふぅっ……」
私はその場に立ち止まり、少し乱暴に涙を拭う。
「……っ、泣いちゃ、ダメッ」
泣いたら私、そのくらい先生が好きだってことを自覚しているってことになる。
違うと思いたいのに、私の心は先生のことばかりでいっぱいになって、意に反する行動を取ってしまう。
「……あの、大丈夫ですか?」
そんな時、後ろから誰かに声をかけられる。
「っ……え?」
涙を拭って、後ろを振り返る。
「花霞……?」
「……ひ、じり?」
そこにいたのは、私を見つめる聖だった。
「……どうした、花霞?」
「な、何でもないっ……。雨が、目に入っただけよ」
聖にはそんな言葉が、ウソだと分かってるはずだ。 だからこそ聖は、私に「……ウソ、つくのヘタだな」と私を見る。
「……本当に、何でもないから」
「花霞、俺には……ウソは付くなよ」
その言葉の意味を、私はまだ理解出来ていない。