色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅰ

3,テイリーとの思い出






 時は、遡り。
 中学生になった私は、ある礼拝堂に居た。
 その日は私の誕生日だったが、
 家族は私の誕生日を祝ってはくれなかった。

 慣れてはいた。
 家にいるのは退屈なので。
 領地内にある礼拝堂で過ごす日々を送っていた。
 この礼拝堂は、昔はよく使用されていたそうだけど。
 今は近くに綺麗で広々とした礼拝堂が建設された為、ほとんど使用されなくなった。

 先生が「使っていいよ」と言って鍵をくれたので。
 私は礼拝堂へ行って。
 礼拝堂にあるグランドピアノで何時間もピアノの練習をしていた。
 夢中になって練習していたせいか。
 誰か入ってきたことに気づかなかった。

 1時間ぶっ通しで弾いた後。
 喉が渇いたので、立ち上がると。
 男の子が座っていた。
「だあれ?」
 と質問すると、男の子は「テイリー」と名乗った。





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