色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅰ
 ヒューゴはあまり、恋愛には興味のない人間だと思った。
 いつも男子と4~5人でつるんでワイワイしているような人。
 かといえ、一人が嫌なわけじゃなくて。
 教室の片隅で黙々とゲームしているような人だった。
 クラスは違ったけど、ヒューゴが女の子と楽しそうに喋っているのを見たことがなかった。

「恋愛目的でこの学校に入ったわけじゃない」
 ヒューゴが言った。
 親に勧められ、入学したヒューゴ。
 私と違ってクールで恋愛にガツガツしていない落ち着きよう。
 婚約が成立してからは、完全に安心してしまったのが不運の始まりだった。

 ヒューゴは学校の宿舎で生活をしていた。
 私も宿舎に入りたかったけど、お父様に「駄目」の一言で入ることが許されなかった。
 毎日、2時間近くかけて家から車で通う苦痛。
 それに比べて、ヒューゴは宿舎からのんびりと学校へ行き来してたっけ。

 男女の宿舎は別なんだけど。
 別にお互いの宿舎は立ち入り禁止じゃなかったわけで。
 そこで恋が芽生えるパターンが幾つもあった。
 1年生として入学してきたアミラという女は、ゲームが好きで。
 ヒューゴとすっかりと意気投合したのだ。
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