色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅰ
 3年生の秋頃から、
 ヒューゴの様子がおかしくなった。
 デートをしていても、落ち着かないでソワソワしていて。
「宿舎に戻らなきゃ」とすぐに帰ろうとする。

 卒業後は大学へ行って経済学を勉強することが決まっているヒューゴだったけど。
「勉強が忙しい」と言われてしまったら、何も言い返すことが出来ない。

 だから、私はヒューゴを陰ながら見守ることにした。
 ただ、宿舎での生活までは見守ることが出来ない。
 そこで、元々知り合いだったテイリーという一年生にヒューゴを見張るように依頼した。
 そうしたら、ヒューゴがアミラという一年のブスと仲良くしているというのを知った。

 私はすぐにアミラというブスを調べた。
 裏の顔は、お見合い学校…ということで、学校専用のSNSを見れば相手の素性なんてすぐにわかってしまう。
 SNSには、一人一人のプロフィールを見ることが出来る。
 アミラは平民出身で、趣味はゲーム。
 ああ、何でこんなブスで平民と仲良くしているのよ…という嫉妬がメラメラと芽生え始めた。
 でも、私は婚約者だ。
 面倒見の良いヒューゴが一年生の面倒を見てやってると考えるしかない。
 嫉妬丸出しで、「あの子と仲が良いのね」と言うのも余裕のない女の言うセリフではないか。
 ただ、一度ついてしまった火を消すのは難しかった。
 とことん、あの女について調べてヒューゴと不釣り合いだ! というのを思い知らせてやろうと思った。

 そもそも、なんで平民がうちの学校に通ってるわけよ? という疑問が生じる。
 学年に一人か二人。成績優秀の人間であるならば身分を問わずに入学する生徒がいるというのを知っている。いわゆる奨学金制度。
 だけど、テストのたびに張り出される学年順位をこっそりと見てもアミラの成績は中くらい。上位ではない。
 じゃあ・・・と考えたときに。
 プロフィールに書かれた文字をそっと撫でる。
 魔法の有無・・・有。属性:水

 この国には、生まれつき魔力を持つ人間がいる。
 アミラはまさしく、魔力を持ち、魔法を使える人間だった。
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