色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅰ
 国民の100%が持つと言われた魔力は、
 長い歴史と共に風化したとされる。
 昔は戦争があった。
 いつでも、戦っていた。
 生き残るためには、魔力が必要だった。

 それが、今や平和な日々を送り、
 徐々に魔力は必要なくなってきた。

 国民の三分の一が魔力を持つと言われ、
 国民の三分の二がスペックを持つと言われている。

 魔力があまりにも強すぎる人間は幽閉されていたと聴く。
 国の平和と共に魔力の強さは衰えていくそうだが。
 たまに、魔力の強い人間が生まれることがある。
「アミラは魔力が強すぎるんだね。だから、国の監視対象ではあった」
 と、生徒の個人情報をペラペラと喋る先生。
 ヒューゴが最近、アミラという魔力を持つ女と仲が良いみたいだけど彼女はどういう人物なのかと率直に質問したところ、先生はペラペラと喋って教えてくれた。
 平民だけれど、魔力が強いがためにこの学校に入学させて。
 常に監視対象であること。
 ゲームが好きで、ヒューゴと共にバーチャルゲームを作り体験しているということ。
「心配ないよ。アミラは魔力が強いとはいえ、危険人物ではないんだから。ヒューゴと同じ水の属性だから、色々と話が合うんじゃないのかな」
 先生が笑顔で言った。

 がしゃーん。
 と、頭の中で何かが割れる。
 魔力ね。
 持っている人間にしかわからないモノだということは、わかってる。
 …私は生まれつき魔力というものを持っていない。
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