色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅰ
 魔力を持っているからといって、私生活で魔法を使うことは法律で禁止されている。
 魔法を使いたいならば、合法的に魔法を使用出来る職業に就くしかない。
 警察や自衛隊。
 医療現場でも使うことを許されている魔法。

 生まれつき魔力がなく、魔法が使えない私には縁のないことだ。
 だが、魔力を持つ者同士はどこかで惹かれ合うのだろうか。
 魔力を持たない人間にはわからないような絆を持つ。
 こればかりは、魔力を持っている人間じゃないとわからない。

 たまに、ヒューゴと魔法の話をするが。
 何を言っているのか、さっぱりとわからなかった。
 私が魔法について勉強すればいいのかと言えば、そうじゃない。
 魔力を持つ者同士にしか、わからない…見えない絆があること。

 私は蚊帳の外なのだ。

「ヒューゴ先輩は、あの人とバーチャルゲームを作って楽しんでいますね」
 テイリーの言葉に、額の血管が切れるんじゃないかって言うくらい憤慨した。
 学校が休みの日、ヒューゴは勉強しているのかなと思いきや。
 あの女とバーチャルゲームかよ…

 クリスマスは食事だけ行っただけで。
 すぐに帰ってしまったヒューゴ…
 でも、まだ大丈夫。私は婚約者だもの。
 大丈夫よと自分に言い聞かせながらも。
 あのアミラっていう女に対する憎しみはどんどんと湧き出てくるのがわかった。

 魔力を持つ人間は、実生活で魔法を使用することは法律上許されない。
 合法的に、利用するには。
 バーチャルワールドで使用するしかない。

 魔力を持つ人間のみが使用出来るバーチャルゲームがある。
 身体は眠った状態、意識だけをバーチャルワールドに飛ばして。
 自分がゲームのキャラクターになって思う存分、魔法を使って敵を倒すゲーム。

 戦うことの何が楽しいのか私には理解できない。
 ヒューゴがゲームの楽しさを思う存分、説明してくれても。
 私は1mmだって惹かれない。
 ヒューゴが好きなのだから、自分も好きになろうとは思った。
 でも、魔力がないんだから私には出来ない。
 古典的なトランプぐらいしか私には出来ない・・・
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